ヘルメット事件

皆さんの会社は「稟議書」はありますか?こんなことを聞くと当然だろ!

と怒られてしまいそうですが、弊社ではいままでこのような制度はなく、

私もそんなに書類ばっかり作ってもどうしようもないだろう、という気持

ちでした。

 

あるとき私のところに、現場管理の担当者が、「社長、外注の職人たちにも

田村製作所のヘルメットをかぶってもらったらどうか。そうすると職人た

ちにとってもいいし、お客様の印象もいいはず。」という提案を持ってきま

した。私はとても良いアイデアだと思い即座に了承し、事務の担当に現場

担当者と相談の上ヘルメットを購入するよう指示しました。

 

それが混乱の始まりでした。事務担当者が見積もりをとってみると結構な

金額になったらしく、それを現場担当者に相談すると、「社長がOKと言っ

たんだからOKじゃない?」と。そんなことが口論になりなかなか作業が

進まず、お互い気分を害しながらもやっと購入。ヘルメットが届いて、何

も話しを聞かされていない担当部長は、「俺はこんなこと聞いていない。

そもそもこんなに数がいるのか?」と憤慨。最後に請求書を見た私は金額

を見て「えー、こんなにするの?!」とびっくり。

 

私が一言、「OK」と言ったばかりに、社内に混乱を巻き起こし皆に嫌な思い

をさせてしまいました。やはりここは筋を通し、担当者は部長に相談し、

部長が社長に相談する。社長の決定は部長に伝え、その決定を部長から担当

者に伝えるという決定プロセスが非常に重要だと痛感しました。社長は社長

だからといって好き勝手にできるのではなく、部長に任せたからには部長を

立て、その筋を曲げてはいけないことを学びました。

 

弊社では昨年より稟議書制度を採用し、同時に改善起案書の制度もスタート

しました。今では20件/月程度の改善提案が社員のみなさんより出てきてい

ます。このように社員の意見が社長までしっかり伝わること、そしてフィー

ドバックが必ず行われることが、風邪通しのよい組織につながっていくのだ

と思います。

 

目標は年間1,000件の改善提案が社員から出てくることです。そうなれば、

だれかの指示により会社が動くのではなく、自律的に組織が変化していく。

そんな会社になることを夢見ています。